セラミック溶射に関する日本工業規格(JIS)はJIS H8304として1980年に制定されて以来,1994年に制定されたJIS H9304「セラミック溶射作業標準」と共に幅広く利用されてきました.その後何度かの改正が行われましたが(1994年及び2007年),現在の産業界において商取引されているセラミック溶射の皮膜品質がさまざまな技術進歩により高度化していること,また試験方法も進歩があったことなどを鑑み、溶射関連JIS原案作成団体である一般社団法人日本溶射学会溶射規格委員会において本JISを改正する必要がある判断し,同委員会にて2012年度よりその改正に取り組んでまいりました.
このたび改正作業も終え,日本工業標準調査会(JISC)における技術審査も通り,2014年3月20日付にて経済産業大臣から改正案が公示さましれた.
詳細は以下の「解説」をご覧下さい.
日本溶射学会誌 第41巻第2号 解説「2014年に改正されたJIS H8304セラミック溶射」
JIS本文は日本工業標準調査会(JISC)ホームページ JIS検索からご覧いただけます。
● JIS H8403「溶射効率測定方法」の制定について
「溶射効率」を測定する方法はもっぱら過去の経験から生み出された各企業あるいは各研究機関の独自のやり方で行われ,その手法としての妥当性や測定精度などが不正確になる可能性がありました.また,溶射施工企業などでは,受渡当事者間での取り決めで決めておくなど,標準的な手法がないままという現状です.
今回ISO17836 “Determination of the deposition efficiency for thermal spraying” をもとに日本工業規格JIS H 8403:2013「溶射効率測定方法」が2013年5月20日、経済産業大臣から制定されました.JIS 原案作成団体は一般社団法人日本溶射学会であります.詳細は以下の「解説」をご覧下さい.
日本溶射学会誌 第40巻第4号 解説「JIS H8403溶射効率測定方法」
JIS本文は日本工業標準調査会(JISC)ホームページ JIS検索からご覧いただけます。
現行の溶射関連のJIS規格には、下記のものがあります。
詳しくは、工業標準調査会(JISC)ホームページのJIS検索 または
日本規格協会(JSA)ホームページのJIS検索 で御覧ください。
記号 | 制定/改正年 | 規格名称 |
---|---|---|
JIS H 8200 | 1986/2006 | 溶射用語 |
JIS H 8250 | 1998/2007 | 溶射の記号による表示方法 |
JIS H 8260 | 2007 | 溶射用粉末材料 |
JIS H 8261 | 2007 | 溶射用線材,棒材,コアード材 |
JIS H 8300 | 1971/2011 | 亜鉛,アルミニウム及びそれらの合金溶射 |
JIS H 8302 | 1974/2010 | 肉盛溶射(鋼) |
JIS H 8303 | 1976/2010 | 自溶合金溶射 |
JIS H 8304 | 1970/2014 | セラミック溶射 |
JIS H 8306 | 2002/2009 | サーメット溶射 |
JIS H 8401 | 1999 | 溶射皮膜の厚さ試験方法 |
JIS H 8402 | 2004 | 溶射皮膜の引張密着強さ試験方法 |
JIS H 8403 | 2013 | 溶射効率測定方法 |
JIS H 8451 | 2008 | 遮熱コーティングの耐はく離性試験方法 |
JIS H 8452 | 2008 | 耐酸化金属コーティングの耐はく離性試験方法 |
JIS H 8453 | 2010 | 遮熱コーティングの熱伝導率測定方法 |
JIS H 8454 | 2010 | 遮熱コーティングの縦弾性係数試験方法 |
JIS H 8455 | 2010 | 遮熱コーティングの線膨張係数試験方法 |
JIS H 9302 | 1994/2007 | セラミック溶射作業標準 |