高速フレーム溶射(High velocity flame spraying)

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 ガス炎を熱源とするフレーム溶射法の一種。燃焼室の圧力を高めることにより,連続燃焼炎でありながら爆発溶射炎に匹敵する高速火炎を発生させ,これを用いることを特徴とする。
 溶射粉末が高速度で基材に衝突するため,ち密な皮膜を形成する。連続的に皮膜が形成されるので爆発溶射法よりも皮膜形成速度が大きくなっている。
 高圧の酸素とプロピレンあるいは水素などの燃料ガスを燃焼室に供給し,粉末材料が搬送ガス(通常,窒素)により火炎中供給される。HVOF(High velocity oxy-fuel)法とも呼ばれる。高圧酸素に代えて圧縮空気を用いる方式をHVAF(High velocity air fuel)法と呼び,区分する場合もある。最近は,燃焼室圧力を高めるため,ガス燃料の代わりに取り扱いの安全な灯油を用いて型が多い。この従来型よりも燃焼圧力が高い型を高圧(HP;high puressure)高速フレーム溶射と区分する場合もある。
 爆発溶射法同様,炭化物系サーメット(WC-Coなど)などの耐磨耗性皮膜形成に優れた性能を示す。

<溶射法の特徴>

  • フレームの速度は,超音速で1000m/s以上で,粒子の基材への衝突速度も400m/s以上(粒子の組成・密度,粒径,燃焼圧,ノズル形状などによる)
  • 大量の酸素(空気)を必要とする。

<皮膜の特徴>

  • プラズマ溶射などの比べ熱変質が少ない
  • ち密で密着力が高い